こんにちは、フローリスト兼ブロガーのはなとです。
今回は「音楽の消費がどのように大衆化したのか」を振り返りながら、「花も同じように大衆化できるんじゃないか?」ということを中心に検証してみます。
音楽は、かつてレコードやCDといった物理メディアを中心に楽しむもので、今ではストリーミングのおかげでスマホ1台があればどこでも聴ける時代ですよね。
次に「花はどうなの?」というと、こちらも昔ながらの花屋さんでの購入だけでなく、サブスクリプションやECで手軽に手に入れられる時代になりました。
この記事では、そんな「音楽の消費の変遷」と「花の消費スタイルの変化」を並べて見ながら、
「ポータビリティ」(手軽さ・持ち運びやすさ)が大衆化に影響するのか考えてみました。
1. 1980年代から始まる音楽の大きな変化

● アナログからデジタルへ
- 1980年代:レコード・カセットテープ全盛。ウォークマンの登場で「音楽を持ち歩く」文化が一気に加速!
- 1990年代:CDが主力に。 それよりも扱いやすさも向上し、音楽市場は大いに盛り上がりました。
- 2000年代:インターネットが普及し、MP3のダウンロードやiTunes Storeが登場。アルバム単位よりも、1曲ずつ購入するスタイルが普及。
- 2010年代以降:SpotifyやApple Musicなど、ストリーミングサービスが世界的に拡大。「音楽=パッケージを購入しなくても定額で聴き放題」が当たり前となりました。
● 音楽体験が激変:買うから「アクセス」する時代へ
- かつてはCDを購入するか、レンタルショップで借りてカセットテープやMDなどに録音するのが普通でした。
- 今や月額料金さえ払えば、スマホで数千万曲をいつでもどこでも聴ける便利な世の中に。
- CDを全て楽しむのは一部のコレクターに限定され、一般層はサブスクリプションで手軽に音楽を聴く流れに。
●市場全体に起きたこと
- 1990年代後半はCD売上がピークに達し、音楽業界は絶頂期。
- 2000年代は海賊版の流通などもあって一時的に収益が落ちてきました。
- 2010年代以降はストリーミングサービスが主流となり、音楽ビジネスは新たな収益源を確保。
- 今やアジアのポップスも世界中でヒットするなど、国境を越えて音楽が「グローバルに」消費される時代に。
2. 花の消費・売り方・見せ方も進化中
続いて、日本の生花市場を見てみましょう。
●昔ながらの「店頭販売」から多チャネル時代へ
- かつては街の花屋や市場での対面販売が中心でした。冠婚葬祭や仏花など、イベント需要が主力でした。
- 1990年代ごろからはスーパーホームセンターでの切り花販売も増え、日常的に手に取れるチャンスが少しずつ拡大。
- 2000年代以降はECサイトやサブスクリプション(定期便)が登場。
- サブスクサービスでは「ポスト投函機能」ができるほど少しのブーケが人気で、毎週・隔週で自宅に花が届くプランも充実。
●インテリアとしての日常ニーズがジワジワ増加
- バブル期などは企業のロビー装飾や華やかなイベントが多かった。一方で、個人消費は割と限定的。
- 切り花出荷数は1996年をピークに減少傾向ですが、最近は「花のある暮らし」をSNSで発信する人が増加している。
- 特にコロナ禍以降、自宅時間を楽しむために花を定期的に飾る若者が増え、サブスク利用も急増。
- 「日常で気軽に花を楽しむ」ことが少しずつ浸透し、スーパーで買える小さなブーケや「映える」ドライフラワーなども人気に。
●デジタル活用でアクセス拡大
- SNSで花束の写真やアレンジを発信 → 若い層が「やってみたい!」「欲しい!」と興味を持つ。
- ECサイトやフラワーサブスクの普及で、地方や忙しい人でも購入しやすい。
- データ活用により、好みに合った花材を届けたり、必要を予測して廃棄を最小限に抑えたりもします。
3. 音楽と花は「消費体験」って変わった?

●消費体験(許容性)
- 音楽:ストリーミングでスマホがあればすぐ聴ける。 購入の手間なしで「聴き放題」。
- 花:サブスクやオンライン注文で店頭に行かなくてもOK。それでも届くまでの時間や水替えなど手間はある。
- 危険と昔と、花を手に入れるための決断は確実に落ちているし、家まで「運んで」くれる仕組みも整いつつある。
● アクセスのしやすさ
- 音楽:世界中どこでも24時間デジタルアクセスできる。
- 花:生鮮品ゆえの物理的制約はあるが、宅配やクール便が発達して全国どこでも買える時代に。
- 都市部では当日配達・駅での受け取りなど、リアル店舗に行かなくても花を得る手段が増加します。
● 市場規模への影響
- 音楽は、CDからデジタルへの移行期間に一時的に市場が落ちましたが、ストリーミングを軸に再拡大中。
- 花は従来の主要顧客層が高齢化する中で、新しいサービス(EC・サブスクなど)が若年層を取り込むカギになりつつある。
- 消費スタイルを「特別な贈り物」から「日常使い」へシフトできれば、まだまだ市場は伸びる可能性があります。
4. 花にも“ポータビリティ”革命が起これば大衆化は進む?
音楽の歴史を振り返ると、「いつでもどこでも聴ける」環境が整ったことで、音楽はいまや完全に生活に溶け込みました。
花も同じように、「簡単に手に入って、負担なく楽しめる」かどうかが大衆化の拡大の道になりそうです。
- スマートフラワー:従来より短い茎で扱いやすく、持ち帰りやすい。
- サブスクモデル:わざわざ買いに行かなくても定期的に届いて、部屋に飾りやすい。
- SNS・オンライン:写真映えや情報拡散により、花が「気軽に楽しめるトレンドアイテム」になりつつあります。
花はどうしても「ナマモノ」なので、音楽のようにデータ化はできません。 ただし、「鮮度管理や配送スキームの改善」「普段使いやすいサイズ・価格帯の提案」などで、物理的な備えを少しでも低くすることは可能です。
5. まとめ「アクセスのしやすさ」が花の未来を変える

- 音楽はビットストリームとストリーミング普及で誰もが手軽に楽しめるものへ。
- 花もEC・サブスク・SNSによる情報発信で、徐々に大衆化への道を進んでいます。
- 「好きだけど普段は買わない」という潜在層を掘り出せる、ちょっと市場はまだまだ拡大の方が大きい。
- ポータビリティ(手軽さ)を高める工夫こそが、花が日常に根づく最重要ポイント。
花屋で長年働いていた私としては、「花を飾る部屋と雰囲気がガラッと変わる」ことをもっと多くの人に知ってほしい!
音楽と同じように、スマホを取り出す感覚で「あ、今日は花を飾ろう」と手軽に手に入れられる日が来れば、花のある暮らしが当たり前になるかも知れません。
「Hana Shift」では花のキャリアや働き方だけでなく、
花の新しいビジネスモデルや消費スタイルにも注目していきます。
この記事を書いた人
はなと(秀人)
- 40代前半、元大手生花店勤務経験あり。現在は自宅を拠点とする個人フローリストを運営。
- 「花のある暮らし」を広めるため、イベント出店・EC販売などを行いながら、ブログ「hana Shift ー 花屋が拓く新キャリア」を配信中。
- 好きな春の花はラナンキュラス、好きな音楽はクラブジャズ。
Hana Shift ー 花屋が拓く新キャリア
花の仕事で培ったクリエイティブな経験は、実はもっと広いフィールドで活かせます! このブログでは、花屋から別業種への転職ストーリーや新しい働き方、そして「花」を軸にしたさまざまなアイデアを発信しています。
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